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増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017 画像所見〔咽喉頭・食道〕
黒色食道(急性壊死性食道炎)〔black esophagus(acute necrotizing esophagitis)〕
著者: 上村直実1
所属機関: 1国立国際医療研究センター国府台病院
ページ範囲:P.554 - P.554
文献購入ページに移動急性壊死性食道炎は1990年にGoldenbergら1)が初めて内視鏡的に診断したもので,上部消化管内視鏡検査で特徴的な食道粘膜の黒色変化を呈する疾患である.2014年までの本邦における報告例は30例と極めてまれな疾患で,通常,“黒色食道”と呼称されている(Fig. 1〜5).内視鏡所見の特徴は,びまん性,全周性の黒色変化であるが,Moretoら2)による診断基準では,①急性に生ずる食道粘膜全周性の黒色変化,②病変の主座が下部食道(遠位側1/3)に認められ,胃粘膜は正常で胃粘膜との境界が明瞭,③食道粘膜を損傷する他の要因がない,という3項目を満足することが挙げられている.なお,食道粘膜が黒変する原因としては,壊死組織内の血液が凝固あるいは胃酸の曝露により黒色化するものと推測されており,病理組織学的所見では壊死物質と肉芽組織の混在が特徴である.
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