文献詳細
増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017
画像所見〔咽喉頭・食道〕
文献概要
定義
胃噴門部の粘膜下層から食道の粘膜固有層に移行し,粘膜固有層で2〜3cm縦走し,食道の粘膜下層に至る静脈の存在が1966年De Carvalho1)により報告され,食道柵状血管と命名された.内視鏡的には,下部食道に縦走する血管群として認識される.食道胃接合部(esophagogastric junction ; EGJ)は病理組織学的に食道と胃の筋層境界と定義されており,胃噴門部筋層には斜走筋が存在するが,食道には存在しない.この斜走筋の上縁が理論上EGJの境界であるが,組織切片上であってもその同定は難しい.そこで,星原ら2)は下部食道柵状血管の下端をEGJの適切な指標として提唱し,現在本邦におけるEGJの診断に用いられている.また,病理学的には柵状血管は胃上部粘膜内血管より有意に血管径が太く(約100μm以上),この血管径の違いが食道と胃の指標になりうるとされている3).
胃噴門部の粘膜下層から食道の粘膜固有層に移行し,粘膜固有層で2〜3cm縦走し,食道の粘膜下層に至る静脈の存在が1966年De Carvalho1)により報告され,食道柵状血管と命名された.内視鏡的には,下部食道に縦走する血管群として認識される.食道胃接合部(esophagogastric junction ; EGJ)は病理組織学的に食道と胃の筋層境界と定義されており,胃噴門部筋層には斜走筋が存在するが,食道には存在しない.この斜走筋の上縁が理論上EGJの境界であるが,組織切片上であってもその同定は難しい.そこで,星原ら2)は下部食道柵状血管の下端をEGJの適切な指標として提唱し,現在本邦におけるEGJの診断に用いられている.また,病理学的には柵状血管は胃上部粘膜内血管より有意に血管径が太く(約100μm以上),この血管径の違いが食道と胃の指標になりうるとされている3).
参考文献
1)De Carvalho CAF. Sur rangio─architecture veineuse de la zone de ransition oesophago─gastrique et son interpretation fonctionnelle. ActaAnat 64:125-162, 1966
2)星原芳雄,木暮喬,福地創太郎,他.下部食道縦走血管の内視鏡的観察とその臨床的意義.Gastroenterol Endosc 28:941-946, 1986
3)Aida J, Vieth M, Ell C, et al. Palisade vessels as a new histologic marker of esophageal origin in ER specimens from columnar─lined esophagus. Am J Surg Pathol 35:1140-1145, 2011
掲載誌情報