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増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017 画像所見〔咽喉頭・食道〕
epidermization
著者: 剛﨑有加1 門馬久美子1 堀口慎一郎2
所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科 2がん・感染症センター都立駒込病院病理科
ページ範囲:P.558 - P.558
文献購入ページに移動本来,食道上皮は非角化重層扁平上皮から成る.食道epidermization(類表皮化)は,組織学的に扁平上皮表面に厚い角化層を有するのが特徴であり,皮膚の表皮に類似していることから,このように呼ばれている.しかし,食道epidermizationに関する報告例は少なく,慢性炎症がepidermizationの形成に関与している可能性も示唆されているが,真の成因や発生頻度,自然経過などについては不明である.内視鏡的には“鱗状”あるいは“毛羽立ちを有する”白色の角化上皮が,あたかも食道粘膜に付着しているかのように観察され,ヨード染色では不染を示す1)2).境界明瞭な白色隆起を示す病変として,parakeratosis(錯角化)やhyperkeratosis(過角化)なども挙げられるが,内視鏡所見のみで鑑別することは難しく,epidermizationの診断には病理組織所見が必要である.epidermizationの組織所見(Fig.4)の特徴は,重層扁平上皮の表層に厚い角化層を有し,その直下にはケラトヒアリン顆粒を有する顆粒層を伴う点である.
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