文献詳細
増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017
画像所見〔胃〕
伸展不良(poor distensibility of the wall)
著者: 入口陽介1 冨野泰弘1 山村彰彦2
所属機関: 1東京都がん検診センター消化器内科 2東京都がん検診センター検査科
ページ範囲:P.571 - P.571
文献概要
伸展不良とは,X線検査の充満像ではバリウムで,二重造影像では空気またはガス(発泡剤)で,胃を膨らませて胃壁を伸展させるも,胃壁の硬化などによって伸展が悪くなった状態を表現する用語である(Fig. 1,2).胃壁の伸展が不良な場合,胃体部のひだ間の伸展不良を認めたり(Fig. 3),正常な胃と比較して胃形のバランスが悪い場合には(Fig. 4),胃壁のびまん性硬化があると判定する.その場合,癌が粘膜下層以深へ浸潤したスキルス胃癌を疑うが(Fig. 3,4),スキルス胃癌であれば,通常,原発巣となる陥凹性変化があり,生検で未分化型癌が認められる.ただし,原発巣が不明瞭で生検で癌を認めない例もあり,注意が必要である.また,広範な線維化を来すような特殊な病態や漿膜側の炎症後の癒着や他臓器癌の漿膜浸潤,感染症など,伸展不良を来す疾患は多い1).
参考文献
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