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増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017 画像所見〔胃〕
稜線状発赤(kammrötung)
著者: 山本浩隆1
所属機関: 1東京女子医科大学消化器病センター消化器内科
ページ範囲:P.575 - P.575
文献購入ページに移動稜線状発赤は胃体部小彎や前庭部大彎を中心に,胃長軸方向に平行に縦走する,数条の帯状発赤である(Fig. 1〜3).発赤は胃皺襞の頂上部に一致して観察される.欧文表記はドイツ語のkammrötungであり,本来は畝に沿う発赤という語意であるが,kammを“櫛”と誤訳されたことで,櫛でこすってできたような内視鏡所見も相まって本邦では櫛状発赤と広まったようである.「消化器内視鏡用語集第3版」では櫛状発赤は稜線状発赤として改められている1).1956年にHenningが表層性胃炎の1所見として報告2)しているが,病理組織学的には細胞浸潤はみられず,発赤部における表層血管のうっ血が確認される3).一般に非萎縮粘膜の過酸・正酸例にみられることから,稜線状発赤の成因としては胃の蠕動収縮時に皺襞の尾根にうっ血が生じ,そこに接する胃酸が作用しているものと考えられる.
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