文献詳細
文献概要
増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017 画像所見〔胃〕
牛眼像(bull's eye appearance)
著者: 細川治1 柳本邦夫2
所属機関: 1横浜栄共済病院外科 2横浜栄共済病院病理診断科
ページ範囲:P.593 - P.593
文献購入ページに移動bull's eye appearanceは皮膚疾患や眼疾患などのさまざまな医学領域で使用されている用語である.胃においては血行性に転移した転移性腫瘍が粘膜下層や固有筋層で成長して半球状の形態を示す場合に用いられる1).周囲より明らかに隆起した類円形の限局性病変で,中央にdelleや潰瘍形成を伴う.隆起の立ち上がりは周囲粘膜と同様の性状を呈しているが,頂部に向かって次第に変化を来す場合が認められる.一方,頂部の一段低くなった領域に達するまで変わりない粘膜に覆われることがあり,その形態は転移してきた癌腫の細胞成分や線維成分の増殖の多寡により異なる(Fig. 1〜4).最初に悪性黒色腫転移例が報告された2)が,肺癌,膵癌,結腸癌,悪性リンパ腫の胃転移例でも同様の特徴を持つことがある.乳癌の胃転移はこの形態をとらず,スキルス胃癌に類似した形状が多く報告されている.
参考文献
掲載誌情報