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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻5号

2017年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017 画像所見〔胃〕

牛眼像(bull's eye appearance)

著者: 細川治1 柳本邦夫2

所属機関: 1横浜栄共済病院外科 2横浜栄共済病院病理診断科

ページ範囲:P.593 - P.593

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定義
 bull's eye appearanceは皮膚疾患や眼疾患などのさまざまな医学領域で使用されている用語である.胃においては血行性に転移した転移性腫瘍が粘膜下層や固有筋層で成長して半球状の形態を示す場合に用いられる1).周囲より明らかに隆起した類円形の限局性病変で,中央にdelleや潰瘍形成を伴う.隆起の立ち上がりは周囲粘膜と同様の性状を呈しているが,頂部に向かって次第に変化を来す場合が認められる.一方,頂部の一段低くなった領域に達するまで変わりない粘膜に覆われることがあり,その形態は転移してきた癌腫の細胞成分や線維成分の増殖の多寡により異なる(Fig. 1〜4).最初に悪性黒色腫転移例が報告された2)が,肺癌,膵癌,結腸癌,悪性リンパ腫の胃転移例でも同様の特徴を持つことがある.乳癌の胃転移はこの形態をとらず,スキルス胃癌に類似した形状が多く報告されている.

参考文献

1)佐野量造.VII転移性癌.胃疾患の臨床病理.医学書院,pp 91-95, 1974
2)濱中久尚,小田一郎,後藤田卓志,他.転移性胃腫瘍の形態的特徴─内視鏡像を中心に.胃と腸 38:1785-1789, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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