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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻5号

2017年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017 画像所見〔胃〕

胃底腺ポリポーシス(fundic gland polyposis)

著者: 春間賢1 鎌田智有2

所属機関: 1川崎医科大学総合医療センター総合内科2 2川崎医科大学総合医療センター健康管理学

ページ範囲:P.597 - P.597

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定義
 胃底腺の過形成と囊胞状拡張から成る胃底腺ポリープが,胃体部から胃穹窿部に多発するものを胃底腺ポリポーシスと呼び,個数には定義はなく,もともとは家族性大腸腺腫症に合併した胃病変として報告された1).その後,家族性大腸腺腫症に合併しない胃底腺ポリポーシスも指摘され2),胃底腺ポリープは,Helicobacter pylori(H. pylori)感染陰性の胃に発生することが多く3),H. pylori感染陰性者が増加しているため,最近では,家族性大腸腺腫症に合併しない胃底腺ポリポーシスの頻度が増えている.さらに,最近,プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor ; PPI)の長期投与で胃底腺ポリープが新たに発生し,既存のポリープが増加・増大し,胃底腺ポリポージスの形態を示すことがある4).PPIによるものは,薬剤の減量,H2受容体拮抗薬への変更,あるいは中止で改善する.

参考文献

1)飯田三雄,八尾恒良,大串秀明,他.家族性大腸腺腫症の胃病変─その性状と経過を中心として.胃と腸 12:1365-1374, 1977
2)Iida M, Yao T, Watanabe H, et al. Fundic gland polyposis in patients without familial adenomatosis coli:its incidence and clinical features. Gastroenterology 86:1437-1442, 1984
3)鎌田智有,井上和彦,青木利佳,他.胃ポリープの自然史とmalignant potential─胃底腺ポリープ.胃と腸 47:1227-1234, 2012
4)春間賢,塩谷昭子,鎌田智有,他.PPI長期投与の問題点─胃ポリープの発生.消化器内科 56:190-193, 2013
5)八尾隆史,上山浩也,上尾哲也,他.Helicobacter pylori陰性の胃底腺粘膜関連腫瘍.胃底腺型胃癌と胃底腺ポリープの腫瘍化.胃と腸 49:874-880, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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