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増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017 画像所見〔十二指腸〕
異所性胃粘膜(ectopic gastric mucosa)
著者: 小林惇一1
所属機関: 1信州大学医学部内科学第二講座
ページ範囲:P.619 - P.619
文献購入ページに移動広義には十二指腸に認められる異所性胃上皮全体を指すが,そのなかでも固有胃腺を伴ったものが狭義の異所性胃粘膜と呼ばれている.その成因は先天的な胃組織の迷入であるとされている.一方,固有胃腺を伴わない異所性胃上皮は胃上皮化生と呼ばれ,炎症などに伴ってみられる後天的な変化である.本項では狭義の異所性胃粘膜について述べる.
異所性胃粘膜の頻度は0.5〜2%と報告されている1)2).主として球部にみられる所見であり,典型的には,単発または多発の正色〜発赤調を呈する隆起性病変として認識される(Fig. 1,2).経時的に観察すると形態的変化は乏しいことが多い.異所性胃粘膜を母地とした発癌も報告されており,特に大きいものや形態が変化したものなどについては詳細な観察が必要である.
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