文献詳細
増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017
画像所見〔腸〕
白斑(white spots)
著者: 廣田茂1 松本主之2
所属機関: 1滝沢中央病院内科 2岩手医科大学医学部内科学講座消化器内科消化管分野
ページ範囲:P.633 - P.633
文献概要
大腸内視鏡検査の際に,病変の周囲を取り囲むように白色調の点状所見を認めることがある(Fig. 1〜3).これを白斑(white spots)と呼んでいる.進行大腸癌やSM癌の際に,病変よりわずかに距離をおいた粘膜にみられることが多い.腺腫性ポリープ(adenoma)の周囲にも認めることがある.この病変を取り囲むように存在する白斑の正体はfoamy cell(マクロファージ)である.白斑は粘膜表面にのみ存在するのではなく,病変を取り囲む城壁のように粘膜深部まで存在することもある1).
白斑(foamy cell)の意味することは,malignant potentialの高い病変に対する,進展抑制と考えられている.病変よりわずかに距離をおいて存在することから,物理的な壁として進展抑制をしているようにも見受けられるが,シグナルを出して系統的に進展抑制をしていると考えられている1).進行大腸癌に関して言えば,白斑の存在する群と存在しない群では,白斑の存在する群のほうが有意にリンパ節転移が少なかった1).腺腫性ポリープにおいては,現時点はおとなしいがmalignant potentialが高い可能性が考えられる.
参考文献
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