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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻5号

2017年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017 画像所見〔腸〕

偽膜(pseudomembrane)

著者: 三上栄1 清水誠治2

所属機関: 1神戸市立医療センター西市民病院消化器内科 2大阪鉄道病院消化器内科

ページ範囲:P.637 - P.637

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定義
 偽膜とは白色から黄白色の扁平または半球状の丈の低い隆起であり,組織学的には壊死物質が塊状に粘膜上に堆積したものでフィブリン,粘液,好中球,および上皮残渣で構成される.
 偽膜を認める腸炎を偽膜性腸炎と総称するが,臨床現場では通常Clostridium difficile感染症(Clostridium difficile infection ; CDI)のことを指す.CDIに伴う偽膜は全大腸に認めるが,その分布は左側結腸に高度で直腸にもみられる1).偽膜の周辺粘膜は正常か軽度浮腫状であり,びらんや潰瘍を伴うことはまれである(Fig. 1).進行例や重症例では,偽膜は増大し癒合傾向を示す(Fig. 2).偽膜性腸炎の病理組織像は偽膜の形成とその直下の表層粘膜の凝固壊死が特徴である.

参考文献

1)池田圭祐,岩下明德,田邉寛,他.組織像でわかる感染性腸炎.胃と腸 43:1590-1605, 2008
2)清水誠治,富岡秀夫,橋溝千尋,他.Clostridium difficile感染症の臨床症状と画像診断.Intestine 19:561-567, 2015
3)松本主之,藤澤律子,河内修司,他.Clostridium difficile感染症.胃と腸 43:1629-1636, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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