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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻5号

2017年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017 画像所見〔腸〕

鋸歯状(serrated)

著者: 田中義人1 山野泰穂2

所属機関: 1秋田赤十字病院消化器病センター 2札幌医科大学医学部消化器内科学講座

ページ範囲:P.652 - P.652

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定義
 鋸歯状とは“のこぎりの歯”状の形態を指し,大腸において腺腔内にこのような構造を有する病変は鋸歯状病変と総称され,2010年のWHO分類ではHP(hyperplastic polyp),SSA/P(sessile serrated adenoma/polyp,Fig. 1),TSA(traditional serrated adenoma,Fig. 2)に大別されている.HPは長らく悪性化しえない非腫瘍性ポリープとして認識されていたが,近年の研究により,現在ではHPの一部はSSA/PもしくはTSAの初期病変と考えられており,さらにそれらが種々の遺伝子異常を背景として発癌するserrated pathwayが提唱された.特にSSA/PはBRAF変異,CIMP(CpG island methylator phenotype)といった遺伝子異常を高頻度に認め,孤発性MSI(microsatellite instability)陽性大腸癌の前駆病変として大変注目されている.

参考文献

1)藤井隆広,片野未央,藤盛孝博.鋸歯状病変の分類と診断─臨床の立場から.大腸癌FRONTIER 2:54-60, 2009
2)Kimura T, Yamamoto E, Yamano H, et al. A novel pit pattern identifies the precursor of colorectal cancer derived from sessile serrated adenoma. Am J Gastroenterol 107:460-469, 2012
3)山野泰穂,木村友昭,吉川健二郎,他.右側大腸における鋸歯状病変の内視鏡的特徴.胃と腸 47:1955-1964, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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