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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻5号

2017年05月発行

増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017

画像所見〔腸〕

回盲弁開大(ileocecal valve incompetence)

著者: 三上栄1 清水誠治2

所属機関: 1神戸市立医療センター西市民病院消化器内科 2大阪鉄道病院消化器内科

ページ範囲:P.657 - P.657

文献概要

定義
 “回盲弁”は回腸末端と盲腸との間に位置する弁状の構造物で,回腸末端の粘膜,粘膜下組織,および筋層が盲腸内腔へ入り込み,盲腸内で反転して上唇と下唇を形成し,結腸の内容物が回腸に逆流するのを防ぐ役割をしている1).その回盲弁が開大する代表的な疾患としては腸結核が挙げられる.腸結核は,感染の進展がリンパの流れに沿って起こり,感染に伴い粘膜表面に近いリンパ濾胞に結核結節が形成され濾胞外へと拡がる.最終的にそれが粘膜表面に露出し,潰瘍が形成される.そのため病変はリンパ装置の多い回盲部に好発する.腸結核に特徴的な画像所見としては,回腸末端から右側結腸にみられる多発性の不整形潰瘍,輪状・帯状潰瘍などの活動性病変と萎縮瘢痕帯や治癒過程の潰瘍病変との混在がみられる.それらが慢性的に繰り返され,粘膜のひきつれや変形が起こることで偽憩室を形成したり,回盲弁が開大したりすると考えられる2)(Fig. 1,2).

参考文献

1)池田圭佑,岩下明德.回盲部の解剖学的・生理的特徴.Intestine 17:327-332, 2013
2)清水誠治,渡辺元樹,富岡秀夫,他.炎症性腸疾患と鑑別困難な感染性腸炎の診断と経過.胃と腸 41:951-958, 2006
3)大川清孝,北野厚生,中村志郎,他.腸結核の回盲部内視鏡の検討─クローン病との対比について.Gastroenterol Endosc 33:932-938, 1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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