文献詳細
増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017
画像所見〔腸〕
文献概要
定義
1976年にLindström1)が慢性下痢と腹痛を来し,注腸X線や直腸鏡では異常がなく,直腸粘膜生検で上皮基底膜直下に厚い膠原線維束がみられた女性患者をCC(collagenous colitis)として最初に報告した.最近では主に組織学的所見に基づいて診断が行われている2).CCの病理組織学的特徴は,①大腸の表層上皮直下の膠原線維束の肥厚(≧10μm),②粘膜固有層のリンパ球・形質細胞浸潤,③陰窩の正常配列であり,④表層上皮の剝離・平坦化,⑤上皮内リンパ球の増加もみられる.
病因に関して自己免疫,遺伝的素因,腸管感染,胆汁代謝異常,食物アレルギーなどさまざまな仮説があるが,本邦では薬剤に関連した症例がほとんどである2)3).発症に関与するとされている薬剤は,プロトンポンプ阻害薬(PPI),非ステロイド性消炎鎮痛薬,H2受容体拮抗薬,アカルボース,選択的セロトニン再取り込み阻害薬,チクロピジン,スタチン製剤などが代表的である.
1976年にLindström1)が慢性下痢と腹痛を来し,注腸X線や直腸鏡では異常がなく,直腸粘膜生検で上皮基底膜直下に厚い膠原線維束がみられた女性患者をCC(collagenous colitis)として最初に報告した.最近では主に組織学的所見に基づいて診断が行われている2).CCの病理組織学的特徴は,①大腸の表層上皮直下の膠原線維束の肥厚(≧10μm),②粘膜固有層のリンパ球・形質細胞浸潤,③陰窩の正常配列であり,④表層上皮の剝離・平坦化,⑤上皮内リンパ球の増加もみられる.
病因に関して自己免疫,遺伝的素因,腸管感染,胆汁代謝異常,食物アレルギーなどさまざまな仮説があるが,本邦では薬剤に関連した症例がほとんどである2)3).発症に関与するとされている薬剤は,プロトンポンプ阻害薬(PPI),非ステロイド性消炎鎮痛薬,H2受容体拮抗薬,アカルボース,選択的セロトニン再取り込み阻害薬,チクロピジン,スタチン製剤などが代表的である.
参考文献
1)Lindström CG.‘Collagenous colitis'with watery diarrhoea─a new entity ? Pathol Eur 11:87-89, 1976
2)九嶋亮治,松原亜季子.collagenous colitisの臨床病理学的特徴.病態発生と鑑別診断.胃と腸 44:1955-1965, 2009
3)清水誠治.Microscopic colitisのすべて 3.わが国における実態─collagenous colitisを対象とした実態調査の結果から.武藤徹一郎,杉原健一,藤盛孝博,他(編).大腸疾患NOW 2012.日本メディカルセンター,pp 32-37, 2012
4)Umeno J, Matsumoto T, Nakamura S, et al. Linear mucosal defect may be characteristic of lansoprazole-associated collagenous colitis, Gastrointest Endosc 67:1185-1191, 2008
掲載誌情報