文献詳細
増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017
画像所見〔腸〕
非特異性多発性小腸潰瘍症(chronic enteropathy associated with SLCO2A1 gene)
著者: 梅野淳嗣1 江﨑幹宏1
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院病態機能内科学
ページ範囲:P.669 - P.669
文献概要
非特異性多発性小腸潰瘍症は,病理学的に肉芽腫など特異的な炎症所見のない潰瘍が小腸に多発する疾患である1)2).女性に好発し,持続的な潜出血による慢性の貧血と低蛋白血症を来し,難治性の経過をたどる.近年,プロスタグランジン輸送体をコードするSLCO2A1遺伝子の変異に起因する常染色体劣性遺伝病であることが明らかとなり,“CEAS(chronic enteropathy associated with SLCO2A1 gene)”という呼称が新たに提唱された3).同遺伝子変異は肥厚性皮膚骨膜症の原因でもあり,本症においても消化管外徴候として,ばち指,皮膚肥厚や骨膜症などを認めることがある.副腎皮質ステロイドやチオプリン製剤などは無効であり,貧血と低栄養状態に対する鉄剤投与や栄養療法が治療の中心となる.
参考文献
掲載誌情報