文献詳細
増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017
画像所見〔腸〕
大腸憩室(diverticulosis of the large intestine)
著者: 三上栄1 清水誠治2
所属機関: 1神戸市立医療センター西市民病院消化器内科 2大阪鉄道病院消化器内科
ページ範囲:P.671 - P.671
文献概要
“憩室”とは消化管壁の一部または全層が壁外に囊状に突出した構造のことを言う.大腸憩室は憩室壁に固有筋層を欠く仮性憩室がほとんどを占める.欧米では30〜40%,本邦では10〜20%の頻度で認める1).欧米では9割以上がS状結腸に認められ,本邦では約7割が右側結腸に認められるが,加齢とともに左側大腸に認める割合が増加する1).大腸憩室の発生原因としては内圧の亢進が考えられており,憩室が起こる部位は大腸壁でも内圧の刺激に弱い血管筋層穿通部である結腸紐の両脇が多いとされている.そのため,初期の憩室の部位に太い静脈が観察されることが多い1)(Fig. 1).
大腸憩室の画像診断は注腸X線造影検査が最も適しており,特に腸管が長軸方向に短縮した多発憩室を認める症例では内視鏡検査による憩室の観察は困難であるが,注腸X線造影検査では描出が可能である(Fig. 2).画像上は腸管から突出するようなバリウムのたまりを認め,二重造影像では円形・涙滴様陰影を呈する(Fig. 3)が,変形を伴う場合は憩室炎の既往が疑われる.
参考文献
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