胃と腸52巻5号

2017年05月発行

増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017 画像所見〔全消化管〕

陰影欠損（schattenminus）

著者： 八巻悟郎¹ 奥田圭二²

所属機関： ¹こころとからだの元氣プラザ消化器内科 ²東京山手メディカルセンター放射線科

ページ範囲：P.676 - P.676

定義
　陰影欠損とはバリウムまたは空気（造影剤）で満たされた胃陰影の辺縁が，何らかの原因によって部分的に欠損した場合を言う^1）．通常は充盈像や圧迫像に対して用いられるが，半充盈のような二重造影や粘膜像に近い圧迫像に対して用いることもある．充盈の欠損または陰影の脱落は，胃内腔に向かって発育した腫瘍自体が間接に現す鋳型像にほかならない．つまり，胃内腔に向かって突出した隆起性病変であれば，胃癌に限らず陰影欠損として現れる（シェーマ）^2）．
　癌に潰瘍を合併している場合は，陰影欠損（Schattenminus）の中に潰瘍部と一致して突出像（Schattenplus）が現れる．このことをSchattenplus im Schattenminusと言う．

参考文献

1）田宮知耻夫．レントゲン診断學入門．南山堂，pp 289-291, 1963

2）海老根精二．放射線技師のための消化管撮影技術．金原出版，p 329, 1986

3）白壁彦夫．腹部X線読影テキスト①．文光堂，p 117, 1995

4）市川平三郎，山田達哉，土井偉誉．胃X線診断の実際．文光堂，p 222, 1977