文献詳細
文献概要
増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017 画像所見〔全消化管〕
打ち抜き潰瘍(punched-out ulcer)
著者: 吉田雄一朗1 蔵原晃一1
所属機関: 1松山赤十字病院胃腸センター
ページ範囲:P.677 - P.677
文献購入ページに移動打ち抜き潰瘍(punched-out ulcer)とは,境界明瞭で断崖状に下掘れする潰瘍を指す.腸管Behçet病,単純性潰瘍あるいはサイトメガロウイルス(CMV)感染症でみられることが多い.
腸管Behçetの病変は食道から直腸まで全消化管に生じうるが,好発部位は回盲部で,円形ないし類円形の境界明瞭な下掘れ潰瘍が特徴的であり,多くは打ち抜き潰瘍を呈し,定型病変とされる1)2)(Fig. 1a).病理組織学的には非特異的炎症によるUl-IVの開放性潰瘍である3).回盲部以外の大腸(Fig. 1b)や小腸あるいは上部消化管にも同時性ないし異時性に大小の潰瘍を認め,定型病変に類似した打ち抜き潰瘍を呈することがある.単純性潰瘍もまた回盲部および小腸と大腸にBehçet病と同様の打ち抜き潰瘍を認める1)〜3).CMV感染症(CMV食道炎,CMV胃腸炎)も全消化管に大小さまざまな潰瘍性病変を形成する.潰瘍の発症機序として,血管内皮細胞にCMVが感染し,内皮細胞機能障害,血管炎,血流障害を起こすためと考えられている3).本症の潰瘍は地図状,類円形,輪状など多彩な形態を呈するが,多くは下掘れ傾向で,小腸,大腸あるいは食道や胃(Fig. 2)に打ち抜き潰瘍を認めることがある3).
参考文献
掲載誌情報