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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻5号

2017年05月発行

増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017

病理

cobblestone像と炎症性ポリポーシス(cobblestone like appearance, inflammatory polyposis)

著者: 江頭由太郎1

所属機関: 1大阪医科大学病理学教室

ページ範囲:P.679 - P.679

文献概要

cobblestone像の定義
 cobblestone像とは,Crohn病に特徴的な画像所見・肉眼所見で,縦走潰瘍の辺縁粘膜にみられる類円形の小隆起が“敷石状に”集簇した形態像である(Fig. 1).小腸,大腸いずれにもみられる所見であるが,大腸にみられる頻度が高い.cobblestone像は,表面の色調変化が乏しく平滑で,大きさ・形が比較的均一な隆起が均等に分布するのが特徴である.その成因は網目状に縦横に形成されたびらん・潰瘍による粘膜の区画化に加え,粘膜下の炎症を原因とする粘膜下組織の進展不良による粘膜層の縦横両方向の収縮が関与していると考えられる.
炎症性ポリポーシスの定義
 慢性の炎症性腸疾患を基盤として発生する炎症性ポリープは多発することが多く,個数が多い場合は炎症性ポリポーシスと呼ばれる.炎症性ポリポーシスの成因は,慢性炎症による粘膜の過剰な再生により生ずる場合と,潰瘍の取り残した島状粘膜が多発ポリープ様の形態を呈する場合がある(後者は偽ポリポーシスとして,炎症性ポリポーシスと区別する考え方もある).ポリープの肉眼像は楕円形,棍棒状,紐状など不整形で奇妙な形態のものが多く,粘膜層の活動性炎症を反映して表面色調は発赤調を呈することが多い.filiform polyposisは指状,紐状の細長いポリープが集簇性に多発する,炎症性ポリポーシスの特殊型である.filiform polyposisはCrohn病,潰瘍性大腸炎のIBD(inflammatory bowel disease)や結核性腸炎でみられ,特にCrohn病での報告が多いが,Fig. 2の症例のように憩室症にも合併しうる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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