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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻5号

2017年05月発行

増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017

病理

腺管立ち枯れ像(ghost outlines of crypt)

著者: 鬼島宏1

所属機関: 1弘前大学医学部医学科病理生命科学講座

ページ範囲:P.692 - P.692

文献概要

定義
 腸管粘膜が陰窩(腺管)の形状をとどめながら,虚血により陰窩上皮(腺上皮)が脱落した病態である.噛み砕いた表現では,陰窩の残骸・外枠が認められるため,消失した陰窩の存在がうかがえる所見である.虚血性病変では,炎症性変化に乏しく,虚血に最も脆弱な陰窩上皮が最初に傷害されるため,陰窩上皮が萎縮(丈の低下)・消失し,その結果として陰窩(腺管)の立ち枯れ像が生じる.一方,通常の腸炎では,炎症反応により陰窩上皮・粘膜固有層の両者の組織傷害を来して,びらんや潰瘍が形成される.
 虚血性腸炎の組織学的特徴は,①腺管の立ち枯れ像,②高度な杯細胞減少,③フィブリン沈着,④出血・うっ血,であり,これら4所見がそろえば,虚血性腸炎の診断根拠となりうる(Fig. 1〜3).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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