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増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017 病理
偽膜(pseudomembrane)
著者: 江頭由太郎1
所属機関: 1大阪医科大学病理学教室
ページ範囲:P.693 - P.693
文献購入ページに移動偽膜とは,消化管の粘膜面に強固に付着した壊死性滲出物である.偽膜の肉眼的特徴は白色〜黄白色〜黄色で,円形〜卵円形の1〜10mm大の無茎性隆起を呈する.時に,不整形で大きな面状の病変を形成し,文字通り“膜様”の形態を呈する.偽膜の介在粘膜は浮腫がみられることが多いが,炎症性変化は乏しい.組織学的には,偽膜はフィブリン析出と好中球浸潤の目立つ壊死性滲出物である(Fig. 1).偽膜下の組織には壊死性変化を伴う粘膜が残存している場合と,びらんあるいは浅い潰瘍により粘膜が欠損している場合がある.内視鏡検査において,偽膜は水洗においても粘膜面から剝離せず,無理に機械的に剝離すると,粘膜下の組織を損傷し出血を来す.この特徴は,偽膜の主成分であるフィブリンにより偽膜が粘膜組織に強固に接着されていることによる.
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