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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻5号

2017年05月発行

増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017

病理

過誤腫(hamartoma)

著者: 岩下明德1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院病理部

ページ範囲:P.699 - P.700

文献概要

定義
 胎生期における組織の形成異常によって腫瘍様の奇形を生ずることがあるが,これは当該個体(宿主)組織と同調的平行的に発育する点が真の腫瘍(新生物)と異なる.Albrecht(1904)は,この腫瘍様組織奇形を過誤腫(hamartoma)と分離腫に分類した1).過誤腫とは,胎生期に組織成分の量的組み合わせの割合を誤ったがために生じたもの(例 ; 消化管のリンパ管腫,血管腫)(Fig. 1,2),分離腫とは同じく胎生期に組織成分の異所的分離迷入によって発生したもの(例 ; 消化管の異所膵)で,それぞれ腫瘍の外観に似て結節状を呈するが,通常自律的増殖は行わない.しかし,まれに過誤腫,分離腫が自律的発育に転じ,真の腫瘍となることがある.その場合は,それぞれ過誤芽腫(hamartoblastoma),分離芽腫(choristoblastoma)と呼ぶ.

参考文献

1)今井環.腫瘍総論.鈴江懐,小林忠義(編).病理学総論,第2版.医学書院,pp 701-702, 1972
2)Allen MS. Hamartomatous inverted polyps of the rectum. Cancer 19:257-265, 1966
3)多田修治,神尾多喜浩,宮島伸浩,他.残胃に発生したhamartomatous inverted polypの1例.胃と腸 31:539-546, 1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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