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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻5号

2017年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017 病理

横這型胃癌,手つなぎ型腺管癌(crawling-type adenocarcinoma of the stomach)

著者: 河内洋1

所属機関: 1がん研究会有明病院病理部

ページ範囲:P.702 - P.702

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定義
 滝澤1)は,以下の病理組織学的特徴を示す胃癌を,“横這型癌(crawling cancer)”と呼んだ.①萎縮した粘膜を背景にして,細胞増殖帯に相当する粘膜の中間層を中心に,固有層内を広く進展する傾向が顕著.②不整な形態の腺管が互いに融合しながら,粘膜固有層内を水平方向に密度の低い増殖を示す癌で,核異型は軽い.③粘膜表層の上皮は腫瘍性腺管に連続するが,異型は認められず,どこまで癌とするか判断が難しい場合が多い.④印環細胞癌の所見を合併することがある.⑤腸上皮化生腺管に類似することも多い.
 加藤2)は,特徴的な分岐・融合腺管の形態に着目し,“手つなぎ型腺管癌”と表現した.いずれの術語も同一病変を意味すると理解されている.“横這型・手つなぎ型癌”のように両者が併記されることもある.

参考文献

1)滝澤登一郎.横這型胃癌.胃の病理形態学.医学書院,pp 168-172, 2003
2)加藤洋.生検の功罪─病理の立場から.消内視鏡 18:1815-1827, 2006
3)Okamoto N, Kawachi H, Yoshida T, et al.“Crawling-type”adenocarcinoma of the stomach:A distinct entity preceding poorly differentiated adenocarcinoma. Gastric Cancer 16:220-232, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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