icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻5号

2017年05月発行

増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017

病理

hyperkeratosis,hyperparakeratosis

著者: 根本哲生1

所属機関: 1東邦大学医療センター大森病院病理診断科

ページ範囲:P.704 - P.704

文献概要

定義
 hyperkeratosis(過角化)とは,重層扁平上皮のcornified layer〔角質層(角化層)〕の厚さが本来より増している状態を指す1).角質層は扁平上皮の最表層に位置し,最も分化〔角化(keratinization)〕の進んだ細胞から成る.光学顕微鏡的には好酸性で扁平,核の消失した細胞が層状となった部分である.口腔・食道をはじめとする粘膜領域では皮膚(表皮)と異なり,生理的に角質層は存在しない.よって,消化管領域においては明らかに認識される角質層が存在することが過角化とも言える.
 parakeratosisは錯角化あるいは不全角化と訳される.錯角化とは角質層の細胞内に本来みられないはずの核が存在する場合を言う1).錯角化が認識されるためには角質層の出現が前提となるので,消化管粘膜において錯角化は必然的に過角化部分における錯角化,すなわち錯過角化(hyperparakeratosis)の状態となる.

参考文献

1)Mils SE(ed). Histology for Pathologists, 4th ed. Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, p 7, 2012
2)Singhi AD, Arnold CA, Crowder CD, et. al. Esophageal leukoplakia or epidermoid metaplasia:a clinicopathological study of 18 patients. Mod Pathol 27:38-43, 2014
3)濱田健太,石原立,加藤穣,他.特異的な色調を示す病変の特徴と鑑別.胃と腸 51:228-235, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら