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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻6号

2017年05月発行

文献概要

今月の主題 知っておきたいまれな大腸良性疾患 主題症例

Cronkhite-Canada症候群

著者: 平田敬1 蔵原晃一1 八板弘樹1 大城由美2 森下寿文13 渡邉隆14 小林広幸15 江﨑幹宏3

所属機関: 1松山赤十字病院胃腸センター 2松山赤十字病院病理診断科 3九州大学大学院医学研究院病態機能内科学 4福岡大学病院消化器内科 5福岡山王病院消化器内科

ページ範囲:P.806 - P.811

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疾患の概念と疫学的特徴
 Cronkhite-Canada症候群(Cronkhite-Canada syndrome ; CCS)は1955年にCronkhiteとCanada1)によって初めて報告された,消化管ポリポーシスに脱毛・爪甲萎縮・皮膚色素沈着などの特徴的な皮膚症状を伴う非遺伝性疾患である.現在までに世界で500例程度の報告にとどまる希少な疾患であるが,本邦からの報告が多く,既報の6割以上を占める.2013年に施行された全国調査では,2000年以降に本邦で診断されたCCS 210症例の平均年齢は63.5歳で,男女比は1.84:1と男性が多かった2)
 CCSの病因は依然として不明であるが,病態としては,消化管ポリポーシスと炎症性変化によって蛋白漏出性胃腸症と吸収障害が惹起される.そのため,下痢を主徴とする症例が多く,約70%を占める.本症に特徴的な皮膚症状(3徴)である脱毛・爪甲萎縮・皮膚色素沈着は,初診時には50〜60%の症例にみられるのみであり,病初期に皮膚症状を欠く症例が少なくない2).各皮膚所見はCCS診断後の経過中にそれぞれ60〜80%の症例にみられ,そして,約90%の症例でいずれかの皮膚所見を認める2).血液検査所見では低蛋白血症,低ガンマグロブリン血症,電解質異常,貧血などを認めるが特異的な所見はない.消化管合併症として消化管出血(約10%)と腸重積(約5%)がある2)

参考文献

1)Cronkhite LW Jr, Canada WJ. Generalized gastrointestinal polyposis ; an unusual syndrome of polyposis, pigmentation, alopecia and onychatrophia. N Engl J Med 252:1011-1015, 1955
2)Watanabe C, Komoto S, Tomita K, et al. Endoscopic and clinical evaluation of treatment and prognosis of Cronkhite-Canada syndrome:a Japanese nationwide survey. J Gastroenterol 51:327-336, 2016
3)渡辺英伸,味岡洋一,西倉健,他.消化管ポリポーシスの病理.胃と腸 35:293-300, 2000
4)今村哲理,栃原正博,安保智典,他.Cronkhite-Canada症候群.胃と腸 35:361-366, 2000
5)藤田浩史,平田一郎.Cronkhite-Canada症候群.胃と腸 47:807, 2012
6)松本主之,檜沢一興,中村昌太郎,他.消化管ポリポーシスの内視鏡診断.胃と腸 35:285-292, 2000
7)梅野淳嗣,前畠裕司,中村昌太郎,他.消化管ポリポーシスと胃病変.胃と腸 47:1257-1269, 2012
8)森下寿文,蔵原晃一,八板弘樹,他.非腫瘍性疾患:Cronkhite-Canada症候群の胃病変.胃と腸 50:806-809, 2015
9)岸昌廣.画像診断道場:Cronkhite-Canada syndrome.胃と腸 47:1722-1725, 2012
10)多田正大,管田信之,清水誠治.Peutz-Jeghers症候群.胃と腸 35:342-348, 2000
11)藤澤聖,松本主之,中村昌太郎,他.Cowden病.胃と腸 38:465-472, 2003
12)坂本博次,矢野智則,砂田圭二郎.過誤腫性ポリポーシス.日消誌 114:422-430, 2017
13)Sweetser S, Ahlquist DA, Osborn NK, et al. Clinicopathologic features and treatment outcomes in Cronkhite-Canada syndrome:support for autoimmunity. Dig Dis Sci 57:496-502, 2012
14)松井佐織,氣比恵,阿南会美,他.同時多発性に早期大腸癌と腺腫を合併したCronkhite-Canada症候群の1例.日消誌 108:778-786, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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