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文献概要
今月の主題 知っておきたいまれな大腸良性疾患 主題症例
Cronkhite-Canada症候群
著者: 平田敬1 蔵原晃一1 八板弘樹1 大城由美2 森下寿文13 渡邉隆14 小林広幸15 江﨑幹宏3
所属機関: 1松山赤十字病院胃腸センター 2松山赤十字病院病理診断科 3九州大学大学院医学研究院病態機能内科学 4福岡大学病院消化器内科 5福岡山王病院消化器内科
ページ範囲:P.806 - P.811
文献購入ページに移動Cronkhite-Canada症候群(Cronkhite-Canada syndrome ; CCS)は1955年にCronkhiteとCanada1)によって初めて報告された,消化管ポリポーシスに脱毛・爪甲萎縮・皮膚色素沈着などの特徴的な皮膚症状を伴う非遺伝性疾患である.現在までに世界で500例程度の報告にとどまる希少な疾患であるが,本邦からの報告が多く,既報の6割以上を占める.2013年に施行された全国調査では,2000年以降に本邦で診断されたCCS 210症例の平均年齢は63.5歳で,男女比は1.84:1と男性が多かった2).
CCSの病因は依然として不明であるが,病態としては,消化管ポリポーシスと炎症性変化によって蛋白漏出性胃腸症と吸収障害が惹起される.そのため,下痢を主徴とする症例が多く,約70%を占める.本症に特徴的な皮膚症状(3徴)である脱毛・爪甲萎縮・皮膚色素沈着は,初診時には50〜60%の症例にみられるのみであり,病初期に皮膚症状を欠く症例が少なくない2).各皮膚所見はCCS診断後の経過中にそれぞれ60〜80%の症例にみられ,そして,約90%の症例でいずれかの皮膚所見を認める2).血液検査所見では低蛋白血症,低ガンマグロブリン血症,電解質異常,貧血などを認めるが特異的な所見はない.消化管合併症として消化管出血(約10%)と腸重積(約5%)がある2).
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