icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻6号

2017年05月発行

文献概要

今月の主題 知っておきたいまれな大腸良性疾患 主題症例

pyogenic granuloma

著者: 大庭宏子1 大川清孝1 焦光裕1 小野洋嗣1 宮野正人1 上田渉1 山口誓子1 青木哲哉1 倉井修1 小野寺正征2

所属機関: 1大阪市立十三市民病院消化器内科 2市立川西病院病理診断科

ページ範囲:P.816 - P.818

文献購入ページに移動
疾患の概念
 pyogenic granulomaは1897年にPoncetとDor1)により初めて報告された疾患で,化膿性肉芽腫,膿原性肉芽腫,肉芽組織型血管腫,lobular capillary hemangioma2)3)などとも呼ばれている.皮膚および粘膜の結合織に由来する隆起性の肉芽様病変で,皮膚科・口腔外科領域ではしばしば報告されている疾患である.
 一般にpyogenic granulomaは,乳幼児より高齢者に至るまで幅広い年齢層に発症し,発生頻度の差異はみられない.性差はないが,妊婦の歯肉に発生するgranuloma gravidarumも病理学的には同型であることから,本疾患の発生に女性ホルモンの関与を示唆する報告もみられる4).成因としては感染,外傷,慢性刺激など局所因子が原因と言われている.消化管での報告は食道の報告が多いが,大腸の報告はまれである.医学中央雑誌にて検索しえた範囲では2016年までに大腸の報告例は自験例を含めて26例であった.大腸の症例は血便,貧血などの症状で発見されることが多い.

参考文献

1)Poncet A, Dor L. Botryomycose humaine. Rev Chir Paris 18:996, 1897
2)Yao T, Nagai E, Utsunomiya T, et al. An intestinal counterpart of pyogenic granuloma of the skin. A newly proposed entity. Am J Surg Pathol 19:1054-1060, 1995
3)辻口比登美,天津孝,正木秀博,他.胃に発生したpyogenic granulomaの1例.Gastroenterological Endoscopy 35:2916-2921, 1993
4)田中まり,北吉光,西村雅恵,他.妊娠中に生じたpyogenic granulomaの3例.皮膚 39:181-185, 1997
5)佐野村誠,佐々木有一,江頭由太郎,他.pyogenic granuloma.胃と腸 48:1198-1199, 2013
6)新井俊文,門馬久美子,川田研郎,他.食道に発生したpyogenic granulomaの1例.胃と腸 41:983-989, 2006
7)小林広幸,渕上忠彦,堺勇二,他.消化管炎症性類線維ポリープ(IFP)の診断と治療.胃と腸 39:640-646, 2004
8)内山正,杉原一正,友利優一,他.当科で過去20年間に経験したpyogenic granulomaの臨床統計的観察.日口外誌 34:603-608, 1988
9)細野知宏,川村武,村上慶四郎,他.下行結腸化膿性肉芽腫の1手術症例.日消外誌 44:1039-1046, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら