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今月の主題 知っておきたいまれな大腸良性疾患 主題症例
pyogenic granuloma
著者: 大庭宏子1 大川清孝1 焦光裕1 小野洋嗣1 宮野正人1 上田渉1 山口誓子1 青木哲哉1 倉井修1 小野寺正征2
所属機関: 1大阪市立十三市民病院消化器内科 2市立川西病院病理診断科
ページ範囲:P.816 - P.818
文献購入ページに移動pyogenic granulomaは1897年にPoncetとDor1)により初めて報告された疾患で,化膿性肉芽腫,膿原性肉芽腫,肉芽組織型血管腫,lobular capillary hemangioma2)3)などとも呼ばれている.皮膚および粘膜の結合織に由来する隆起性の肉芽様病変で,皮膚科・口腔外科領域ではしばしば報告されている疾患である.
一般にpyogenic granulomaは,乳幼児より高齢者に至るまで幅広い年齢層に発症し,発生頻度の差異はみられない.性差はないが,妊婦の歯肉に発生するgranuloma gravidarumも病理学的には同型であることから,本疾患の発生に女性ホルモンの関与を示唆する報告もみられる4).成因としては感染,外傷,慢性刺激など局所因子が原因と言われている.消化管での報告は食道の報告が多いが,大腸の報告はまれである.医学中央雑誌にて検索しえた範囲では2016年までに大腸の報告例は自験例を含めて26例であった.大腸の症例は血便,貧血などの症状で発見されることが多い.
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