文献詳細
文献概要
今月の主題 知っておきたいまれな大腸良性疾患 主題症例
pseudolipomatosis
著者: 清水誠治1 髙島英隆1 眞嵜武2 小木曽聖1 池田京平1 福田亘1 上島浩一1 横溝千尋1 富岡秀夫1 石田英和3
所属機関: 1大阪鉄道病院消化器内科 2大阪鉄道病院病理診断科 3奈良県総合医療センター病理診断科
ページ範囲:P.820 - P.823
文献購入ページに移動pseudolipomatosisは大腸の粘膜固有層に小空胞が形成される疾患であり,1985年にSnoverら1)が最初に報告した.腸管気腫症の一型として位置付けられる.名称はHE染色標本でlipomatosisに類似することに由来する.組織学的には粘膜固有層内に直径20〜200μmの空胞がみられ,脂肪細胞や拡張したリンパ管に似るが,脂肪滴やリンパ管内皮はみられない(Fig. 1)1)2).
腸管気腫症の代表的な病型である腸管囊腫様気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis ; PCI)では粘膜下層や漿膜下層を中心に大小の含気囊胞を形成するが,pseudolipomatosisを合併することもある.しかし,pseudolipomatosis単独の場合は粘膜面から気体が侵入すると考えられ,PCIとは気体の侵入経路が異なる可能性が高い.本邦ではほとんど報告がなく,まれな疾患として扱われているが,認知されるようになれば発見頻度が高くなると考えられる.
参考文献
掲載誌情報