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文献概要
今月の主題 知っておきたいまれな大腸良性疾患 主題症例
肛門管尖圭コンジローマ
著者: 上田渉1 大川清孝1 焦光裕1 小野洋嗣1 宮野正人1 大庭宏子1 山口誓子1 青木哲哉1 倉井修1 小野寺正征2
所属機関: 1大阪市立十三市民病院消化器内科 2市立川西病院病理診断科
ページ範囲:P.824 - P.826
文献購入ページに移動尖圭コンジローマは,主としてHPV(human papilloma virus)の6あるいは11遺伝子型が感染して生じるウイルス性疣贅疾患である.微小な傷からウイルスが皮膚,粘膜に侵入し肛門部周囲,陰茎,外陰部に乳頭状疣贅が散在性もしくは密集してみられる.肛門部や膀胱にも病変がみられることがあり,同性愛者では肛門病変が多い.年間約4,000人が罹患し,女性は20歳代,男性は30歳代にピークがある.感染症サーベイランスによると,2005年をピークに減少したが,現在は横ばいとなっている1).潜伏期間は3週〜8か月(平均2.8か月)1)2)であり,実際に発症するのは25%とされている.尖圭コンジローマ発症のリスクとして①活発な性活動,②免疫抑制状態(糖尿病,ステロイドなどの内服,妊娠),③HIV(human immunodeficiency virus)感染などが挙げられる3).特にHIV感染は53%に認め4),尖圭コンジローマを認めた場合には,HIV感染を考慮した診療が必要である.一般的に症状に乏しいが,医療機関受診時の主訴は肛門部の腫瘤触知(75%),痒み(45%),出血(44%),痛み(40%),分泌物(8%)などである5).
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