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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻7号

2017年06月発行

文献概要

今月の主題 胃潰瘍は変わったか─新しい胃潰瘍学の構築を目指して 主題

吻合部潰瘍

著者: 野村幸世1 春間賢23

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科消化管外科 2川崎医科大学総合医療センター総合内科学2 3川崎医療福祉大学医療技術学部臨床検査学科

ページ範囲:P.913 - P.920

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要旨●吻合部潰瘍は胃切除が施行されるようになって以来,比較的多い術後晩期合併症とされてきた.しかし,潰瘍に対する手術が減り,吻合部遠位側にできるとされる狭義の吻合部潰瘍は減っていると思われる.これに対し,胃癌術後の長期生存例は増加している.この場合,胃粘膜萎縮が進み,かつ,迷走神経がリンパ節郭清により切断されており,低酸のことが多い.また,高齢となりNSAIDsを服用する機会が増え,吻合部よりも近位の広義の吻合部潰瘍が増加している.この場合,H. pyloriの除菌が吻合部潰瘍の治療として効を奏することもあり,吻合部潰瘍の原因を考えて治療をすることが肝要である.

参考文献

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7)日本消化器病学会(編).消化性潰瘍診療ガイドライン2015,改訂第2版.南江堂,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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