icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻7号

2017年06月発行

文献概要

今月の主題 胃潰瘍は変わったか─新しい胃潰瘍学の構築を目指して 主題症例

胃梅毒に伴う胃潰瘍

著者: 森本泰隆1 中島智樹1 福田信宏2 大洞昭博2 小島孝雄2 八木信明2 杉江茂幸3 加藤隆弘4

所属機関: 1済生会京都府病院消化器内科 2朝日大学歯学部附属村上記念病院消化器内科 3朝日大学歯学部附属村上記念病院病理診断科 4愛生会山科病院消化器内科

ページ範囲:P.939 - P.944

文献購入ページに移動
要旨●胃梅毒の原因となる梅毒感染は増加傾向にあり,特徴的な内視鏡像やX線造影像の理解は,診断や多疾患との鑑別に重要である.典型例と考えられる自験例を提示し,既報の文献的考察を加えて,画像所見について述べる.本症例は20歳代,男性.心窩部痛を主訴に受診,EGDで胃前庭部を中心に不整なびらん,多発潰瘍を認め,膿汁の付着と軽度の壁硬化所見を認めた.胃X線造影検査では,同部位を中心にバリウムの付着ムラと軽度の伸展不良所見を認め,漏斗状狭窄を呈した.画像所見より胃梅毒を疑い,血液学的検査で梅毒抗体が陽性,組織生検により病理学的に梅毒スピロヘータを確認し,診断しえた.アンピシリン内服加療により内視鏡的所見も改善した.

参考文献

1)Andral G. Infectious of the Stomach and Duodenum. Bockus HL(ed). Bockus Gastroenterology, 2nd ed. Saunders, Philadelphia. pp835-857, 1964
2)小林広幸,渕上忠彦.消化管梅毒.胃と腸 37:379-384, 2002
3)岸健太郎,田村茂行,水谷澄夫,他.早期梅毒性肝炎を合併した梅毒性直腸炎の1例.胃と腸 36:110-114, 2001
4)国立感染症研究所.注目すべき感染症─梅毒.IDWR 48:8-9, 2016
5)Haubrich WS, Schaffner F, Berk JE(eds). Bockus Gastroenterology, 5th ed. Saunders, Philadelphia, p 809, 1995
6)小林広幸,渕上忠彦,福島範子,他.胃梅毒の2例─第2期梅毒性皮疹との形態学的類似性について.胃と腸 26:545-551, 1991
7)山口保,三川清,仲屋佐太男,他.胃梅毒─第II期梅毒における胃粘膜病変の観察.胃と腸4:619-625, 1969
8)高橋亜紀子,小山恒男.非腫瘍性疾患─胃梅毒.胃と腸 50:785-787, 2015
9)堺勇二,渕上忠彦,平川雅彦,他.梅毒の上部消化管病変─鑑別診断を中心に,胃と腸 29:1401-1410, 1994
10)小林広幸,堺勇二,蔵原晃一,他.スキルス胃癌と鑑別を要する非腫瘍性疾患─胃梅毒.胃と腸 45:498-502, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら