文献詳細
今月の主題 大腸スクリーニングの現状と将来展望
序説
文献概要
はじめに
近年日本人の死因は悪性新生物が第1位を占め,そのなかで大腸癌と肺癌が急速に増加してきている.かつては胃癌が悪性新生物による死因のトップを占めていたが,胃癌の大きなリスク要因であるHelicobacter pylori(H. pylori)感染者の年代的な減少傾向,H. pylori感染症を軸とした胃癌予防対策,対策型胃検診への内視鏡の導入などによって,近い将来胃癌死亡は急激に減少していくと考えられる.
一方,大腸癌のリスク因子として従来,遺伝的素因,脂肪摂取量の増加(食事の欧米化),炎症性腸疾患の罹患,大腸ポリープの既往,胆囊摘出など,さまざまな要因が挙げられている.しかし,大腸癌では“胃癌に対するH. pylori感染”,“肺癌に対する喫煙”,“肝癌に対する肝炎ウイルス”など“definite carcinogen”と言えるようなリスク因子が特殊な症例を除いては判明していないために一次予防が困難で,大腸癌の対策は二次予防が中心となって行われているのが現状である.
近年日本人の死因は悪性新生物が第1位を占め,そのなかで大腸癌と肺癌が急速に増加してきている.かつては胃癌が悪性新生物による死因のトップを占めていたが,胃癌の大きなリスク要因であるHelicobacter pylori(H. pylori)感染者の年代的な減少傾向,H. pylori感染症を軸とした胃癌予防対策,対策型胃検診への内視鏡の導入などによって,近い将来胃癌死亡は急激に減少していくと考えられる.
一方,大腸癌のリスク因子として従来,遺伝的素因,脂肪摂取量の増加(食事の欧米化),炎症性腸疾患の罹患,大腸ポリープの既往,胆囊摘出など,さまざまな要因が挙げられている.しかし,大腸癌では“胃癌に対するH. pylori感染”,“肺癌に対する喫煙”,“肝癌に対する肝炎ウイルス”など“definite carcinogen”と言えるようなリスク因子が特殊な症例を除いては判明していないために一次予防が困難で,大腸癌の対策は二次予防が中心となって行われているのが現状である.
参考文献
1)芳野純治,五十嵐良典,大原弘隆,他.消化器内視鏡関連の偶発症に関する第5回全国調査報告─2003年より2007年までの5年間.Gastroenterol Endosc 52:95-103, 2010
2)古田隆久,加藤元嗣,伊藤透,他.消化器内視鏡関連の偶発症に関する第6回全国調査報告─2008年より2012年までの5年間.Gastroenterol Endosc 58:1466-1491, 2016
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