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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻9号

2017年08月発行

今月の主題 大腸スクリーニングの現状と将来展望

主題

挿入から観察まで─私のコツすべて教えます─極細径スコープ

著者: 斉藤裕輔1 佐々木貴弘1 杉山隆治1 富永素矢1 助川隆士1 稲場勇平1 小澤賢一郎1 垂石正樹1

所属機関: 1市立旭川病院消化器病センター

ページ範囲:P.1163 - P.1169

文献概要

要旨●大腸内視鏡の挿入において苦痛の発生を避けるためには,挿入時,内視鏡の直線化を保った軸保持短縮法が重要であるが,腸管癒着例,高齢の痩せ型女性に代表される過長,複雑な走行を伴う症例などでは,プッシュ操作を主体とした挿入法を選択せざるをえなく,苦痛の大きい検査となってしまう.プッシュ操作主体の挿入には細く軟らかい内視鏡が適しているが,従来の細径軟性スコープは深部挿入性が悪かった.PCF-PQ260(オリンパス社製)は,受動彎曲と高伝達挿入部の搭載により,プッシュ操作主体で苦痛が少なく深部挿入性が向上した.2005年5月〜2015年12月までにPCF-PQ260を用いて4,029例に対して全大腸内視鏡検査を施行した.NRS(numerical rating scale)を用いた疼痛の平均値は,癒着やS状結腸過長などの挿入困難因子を有する例で2.6±2.5,挿入困難因子のない例で1.05±1.7であり,sedationなしでも十分許容可能な苦痛の度合いと考えている.PCF-PQ260は男性肥満患者においては深部挿入は困難であり,汎用機ではなく,痩せ型の患者,複数回の腹部手術例を有する女性患者に対するbackupスコープとしての位置付けと考える.

参考文献

1)工藤進英,岡本平次,光島徹,他.大腸内視鏡検査法─手技を中心として.胃と腸 23:943-970,1988
2)多田正大.コロナビを用いた新大腸内視鏡テクニック.医学書院,2000
3)早期大腸癌編集委員会(編).大腸内視鏡挿入のコツ.日本メディカルセンター,2001
4)中西弘幸.大腸内視鏡挿入法─解剖学理論に基づく定型的挿入手技.永井書店,2002
5)五十嵐正広,田中信治(編).ワンポイントアドバイス大腸内視鏡検査法.日本メディカルセンター,2004
6)大腸内視鏡挿入法検討会,五十嵐正広,津田純郎(編).動画で学ぶ大腸内視鏡挿入法トレーニング.日本メディカルセンター,2007
7)岡志郎,斉藤裕輔,五十嵐正広.大腸─1)挿入手技(全大腸検査).日本消化器内視鏡学会卒後教育委員会(編).消化器内視鏡ハンドブック.日本メディカルセンター,2012
8)斉藤裕輔.第7章挿入時における基本事項.III.軸保持短縮法.田中信治(監),永田信二,岡志郎(編).見逃しのない大腸内視鏡の挿入・観察法.日本メディカルセンター,pp 70-78, 2012
9)津田純郎,斉藤裕輔.画期的な新しい機能を搭載した細径大腸内視鏡─OLYMPUS EVIS LUCERA PCF-PQ260.臨消内科 26:249-257,2011
10)小澤賢一郎,中嶋駿介,杉山隆治,他.細径スコープの意義と今後の展望─下部消化管.消内視鏡 23:1085-1090, 2011
11)斉藤裕輔.第7章挿入時における基本事項.VI.2.軟らかいスコープ(受動彎曲スコープ).田中信治(監),永田信二,岡志郎(編).見逃しのない大腸内視鏡の挿入・観察法.pp 92-95,日本メディカルセンター,2012
12)斉藤裕輔.挿入法の基本,5.スコープの使い分けと硬度可変の使い方.3)受動彎曲機能つきスコープ.大腸.樫田博史,鶴田修(編).大腸内視鏡挿入の基本とトラブルシューティング.羊土社,pp 41-43, 2012
13)Brand EC, Dik VK, van Oijen MG, et al. Missed adenomas with behind-folds visualizing colonoscopy technologies compared with standard colonoscopy:a pooled analysis of 3 randomized back-to-back tandem colonoscopy studies. Gastrointest Endosc 2017[Epub ahead of print]

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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