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文献詳細

雑誌文献

胃と腸53巻1号

2018年01月発行

文献概要

今月の主題 胃型形質の低異型度分化型胃癌 主題症例

EMRで診断しえた4型を呈した低異型度分化型胃癌の1例

著者: 荒尾真道1 上堂文也1 大森正泰1 北村昌紀2 中川健太郎1 岩坪太郎1 岩上裕吉1 松野健司1 松浦倫子1 中平博子1 金坂卓1 山本幸子1 竹内洋司1 東野晃治1 石原立1 東口隆一3

所属機関: 1大阪国際がんセンター消化管内科 2大阪国際がんセンター病理・細胞診断科 3済生会中和病院内科

ページ範囲:P.108 - P.115

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要旨●患者は60歳代,男性.201X年12月,早期胃癌に対して内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)を受けた.201(X+1)年8月,前医のESD後経過観察の内視鏡で,胃体下部前壁に1cm大の褪色陥凹面を認めたが,生検の病理診断がGroup 1であったため,フォローアップとなった.半年ごとに上部消化管内視鏡検査(EGD)および1年ごとにCT検査が行われていたが,201(X+6)年12月に病変の明らかな増大傾向を認め,当院に紹介となった.当院でのEGDでは,胃体下部前壁〜大彎に7cm大の4型の病変を認めた.発赤調の凹凸不整な粘膜と周囲に腫大・融合した皺襞を認めた.NBI拡大内視鏡検査では発赤した不整粘膜に一致して微小血管と表面構造の不整を認めたが,周囲粘膜との境界は不明瞭であった.病変に対して,腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行した.切除標本による病理学的所見では,細胞・構造異型の乏しい腺管が漿膜下層まで浸潤する低異型度分化型腺癌であった.

参考文献

1)岩下明德,田邉寛.低異型度分化型胃癌の診断.胃と腸 45:1057-1060, 2010
2)田邉寛,岩下明德,池田圭祐,他.胃底腺型胃癌の病理組織学的特徴.胃と腸 50:1469-1479, 2015
3)大倉康男,中村恭一,西沢護.胃型分化型腺癌の生検組織診断とその問題点─とくに経過を見た症例を中心に.病理と臨 13:18-26, 1995
4)長浜隆司,八尾悟朗,大倉康男,他.組織異型が弱く2年7か月経過観察を行った胃型分化型sm胃癌の1例.胃と腸 38:723-732, 2003
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7)八尾健,田邉寛,長浜孝,他.低異型度分化型胃癌(超高分化腺癌)の拡大内視鏡診断.胃と腸 5:1159-1171, 2010
8)大倉康男,中村恭一.低異型度管状腺癌の生検診断.胃と腸 45:1172-1181, 2010
9)藤澤貴史,阪本哲一,坂口一彦,他.2年間内視鏡的に経過観察した胃型分化型進行癌の1例.Gastroenterol Endosc 44:1692-1698, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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