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文献詳細

雑誌文献

胃と腸53巻10号

2018年09月発行

文献概要

今月の主題 食道表在癌の拡大内視鏡診断─食道学会分類を検証する 主題

食道表在癌における深達度診断からみたB2血管の意義

著者: 竹内学12 森ゆか理2 橋本哲2 味岡洋一3 寺井崇二2

所属機関: 1長岡赤十字病院消化器内科 2新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野 3新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野

ページ範囲:P.1343 - P.1352

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要旨●2011年に日本食道学会拡大内視鏡分類が作成され,現在臨床の場で広く普及している.B1血管やB3血管の診断精度は高い一方で,B2血管を呈する病変の深達度はT1a-LPM〜T1b-SM2まで幅広く存在し,特にT1b-SM2癌を示す病変の割合が高くunder diagnosis症例が多い.そこでB2血管の領域性に着目し,その長径と深達度との相関を詳細に検討した.T1b-SM2癌におけるB2血管領域長径中央値は10mmであり,T1a-LPM癌(5mm)やT1a-MM/T1b-SM1癌(4mm)に比べて有意に大きい結果であった.さらに,B2血管領域をB2血管のみで構成されるpure typeとB1血管が混在するmixed typeに分類した多施設での検討でも,pure typeにおいてT1b-SM2癌のB2血管領域長径はT1a-LPM癌やT1a-MM/T1b-SM1癌より有意に大きい結果であった.今後B2血管による診断精度向上のためには,この領域性を加味した診断が有用である可能性が示された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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