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文献詳細

雑誌文献

胃と腸53巻10号

2018年09月発行

文献概要

今月の主題 食道表在癌の拡大内視鏡診断─食道学会分類を検証する 主題

食道表在癌における炎症を示唆する拡大内視鏡所見─B2血管の鑑別,B2 iの提唱

著者: 高橋亜紀子1 小山恒男1 依光展和1

所属機関: 1佐久医療センター内視鏡内科

ページ範囲:P.1362 - P.1370

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要旨●NBI拡大内視鏡で観察される非ループ血管(B2血管)を,血管径が細く高密度の“B2 i”と,それ以外の“B2 pure”へ亜分類し,その特徴を検討した.2011年1月〜2018年5月までに食道ESDを施行した食道扁平上皮癌(SCC)のうち,NBI拡大観察にてB2と診断し,組織像との一対一対応が可能であった連続51例53病変を対象とした.B2 pureを認めた44病変の病理組織学的診断はすべてSCCであった.一方,B2 iを認めた9病変の病理組織学的診断はSCCが2病変のみで,7病変がびらん・炎症であった.また,CD34染色22切片を用いてNBI拡大観察でB2 pureおよびB2 iが観察された領域の,表層から100μmまでの血管短径と密度を計測した.密度平均値は,B2 pureで3.35本/mm,B2 iで8.22本/mmで,B2 iで密度が有意に高かった(p=0.001).血管短径平均値は,B2 pureで12.3μm,B2 iで6.65μmで,B2 iは有意に血管径が細かった(p=0.0028).血管径と密度の相関をみると,B2 iではより細く高密度であり,B2 pureではより太く低密度であることが示された.B2 iはびらん・炎症の特徴的な拡大所見であり,深達度の深読みを予防しうる重要な指標と思われた.

参考文献

1)小山恒男,門馬久美子,幕内博康,他.食道表在癌の拡大内視鏡分類.第65回日本食道学会学術集会抄録集.p 143, 2011
2)Oyama T, Monma K. Summaries from the 65th Annual Meeting of the Japan Esophageal Society on September 26, 2011, Sendai. Esophagus 8:247-251, 2011
3)小山恒男.日本食道学会拡大内視鏡分類.胃と腸 49:148-152, 2014
4)Oyama T, Inoue H, Arima M, et al. Prediction of the invasion depth of superficial squamous cell carcinoma based on microvessel morphology:magnifying endoscopic classification of the Japan Esophageal Society. Esophagus 14:105-112, 2017
5)竹内学,橋本哲,小林正明,他.日本食道学会拡大内視鏡分類と深達度─深達度診断におけるB2血管の意義.胃と腸 49:164-172, 2014
6)藤原純子,門馬久美子,立石陽子,他.日本食道学会拡大内視鏡分類と深達度─深達度診断におけるB2血管の意義.胃と腸 49:174-185, 2014
7)根本哲生.食道─正常と炎症性疾患.胃と腸 49:1906-1913, 2014
8)井上晴洋,池田晴夫,佐藤千晃,他.内視鏡観察に基づいた食道の血管構築.胃と腸 49:137-147, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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