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文献詳細

雑誌文献

胃と腸53巻10号

2018年09月発行

文献概要

今月の主題 食道表在癌の拡大内視鏡診断─食道学会分類を検証する 主題

AVAの臨床病理学的検討

著者: 都宮美華1 有馬美和子1 石川文隆2 西村ゆう2

所属機関: 1埼玉県立がんセンター内視鏡科 2埼玉県立がんセンター病理診断科

ページ範囲:P.1384 - P.1392

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要旨●日本食道学会分類で,AVAはType Bで囲まれた無血管もしくは血管が疎な領域と定義され,Type B1から成るAVAはT1a-EP/LPM癌に相当するとされている.実際にはType B1とType B2が混じて論じられ,AVAの大きさやAVAそのものの認識も評価が分かれ,深達度診断がばらつく一因となっている.今回,筆者らはAVAを囲む非ループ血管のうち,拡張・蛇行・口径不同・形状不均一の4徴を満たさない血管から成るAVAをnon B2-AVA,4徴を満たすB2-AVAに大別した.non B2-AVAは,①soccer ball appearanceを呈する典型的なAVA-small,②口径不同に乏しい血管がリング状に並び集合するが,一部でリング状構造が途切れてみえるmesh,③口径不同に乏しい血管が上下方向に波打ち,表層で互いに癒合し円形に配列するbaranに細分類できる.AVAを血管形態別に病理組織像と対比し,臨床病理学的特徴を検討した.non B2-AVAは浸潤傾向が弱く,mesh,baranはsoccer ball appearanceを呈するAVA-smallのvariationと考えられた.一方で,B2-AVAはAVA径が小さいうちから乳頭構造が破壊され,血管の口径不同や走行異常がみられ,浸潤傾向を呈していた.B2-AVAを見きわめ,non B2-AVAと鑑別することが,正確な深達度診断のために必要と考えられた.

参考文献

1)Arima M, Tada M, Arima H. Evaluation of microvascular patterns of superficial esophageal cancers by magnifying endoscopy. Esophagus 2:191-197, 2005
2)有馬美和子,都宮美華,吉井貴子.食道表在癌の拡大内視鏡分類.消内視鏡 26:29-32, 2014
3)Oyama T, Inoue H, Arima M, et al. Prediction of the invasion depth of superficial squamous cell carcinoma based on microvessel morphology:magnifying endoscopic classification of the Japan Esophageal Society. Esophagus 14:105-112, 2017
4)有馬美和子,都宮美華,石川文隆,他.食道表在癌の精密診断 ; 質的診断(staging)─BLIを中心に.消内視鏡 29:2136-2145, 2017
5)都宮美華,有馬美和子.食道癌の診断:存在診断─内視鏡診断の現状〜サーベイランス.臨消内科 32:1205-1210,2017
6)日本食道学会(編).臨床・病理食道癌取扱い規約,第11版.金原出版,2015
7)有馬美和子,有馬秀明,多田正弘.拡大内視鏡による分類:食道─微細血管分類.胃と腸 42:589-596, 2007
8)有馬美和子,有馬秀明,山田透子,他.食道粘膜癌の初期浸潤像の診断─通常内視鏡の立場から.胃と腸 47:1349-1358, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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