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今月の主題 EUSによる消化管疾患の診断—現状と最新の話題
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文献概要
要旨●食道表在癌に対してESDの適応を拡大する際には,転移のリスクがある腹部・縦隔・頸部の3領域リンパ節の系統的な検索が必要である.リニア型EUSはコンベックス型より食道壁および近傍の描出に優れ,食道癌の検索に適している.消化管に対して長軸方向の画像が得られるため,噴門部や頸胸境界部の検索にも有効である.EUSによる検索は,周囲臓器の解剖学的位置関係を把握することが大切で,各位置でメルクマールとしている臓器を確認しながら周囲を検索する.EUSは,リンパ節の形態や内部構造を吟味できることから,リンパ節転移診断の質を向上させる効果がある.EUSによる3領域リンパ節の検索は,食道表在癌のESD適応拡大症例の転移・再発の早期診断につながると考えられる.
参考文献
1)有馬美和子,都宮美華,福田俊,他.食道表在癌のリンパ節転移診断.消内視鏡 30:179-188, 2018
2)有馬美和子,都宮美華.穿刺用EUSスコープを用いた標準的描出法:縦隔領域.消内視鏡 28:1550-1560, 2016
3)日本食道学会(編).臨床・病理 食道癌取扱い規約,第11版.金原出版,2015
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