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文献詳細

雑誌文献

胃と腸53巻13号

2018年12月発行

文献概要

今月の主題 EUSによる消化管疾患の診断—現状と最新の話題 ノート

粘膜下腫瘍様食道癌と粘膜下腫瘍の鑑別—1/9層の有無に注目して

著者: 松浦倫子1 上堂文也1 七條智聖1 前川聡1 金坂卓1 山本幸子1 竹内洋司1 東野晃治1 石原立1 杉村啓二郎2 宮田博志2 矢野雅彦2 北村昌紀3 中塚伸一3

所属機関: 1大阪国際がんセンター消化管内科 2大阪国際がんセンター消化器外科 3大阪国際がんセンター病理・細胞診断科

ページ範囲:P.1775 - P.1782

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要旨●食道の平滑筋腫や顆粒細胞腫を中心とする間葉系腫瘍は粘膜下腫瘍(SMT)様の形態を示す.一方,食道癌にもSMT様の形態を示すものがあり,特に癌が表面にほとんど露出していない場合,通常の内視鏡検査やEUSでは間葉系腫瘍との鑑別が困難で,生検でも癌と診断できない場合がある.今回,SMT様食道癌とSMTの鑑別において,EUSで1/9層が連続して視認できるかに注目して検討した.間葉系腫瘍のうち,平滑筋腫3例では1/9層が全例で明瞭に描出された.GCT3例では1/9層は描出されていたが,一部で菲薄化していた.SMT様食道癌11例では1/9層が全例で断裂,菲薄化していた.食道SMT様病変のEUSで1/9層に着目することで,質的診断につながる可能性があると考えられた.

参考文献

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2)有馬美和子,森川丘道,神津照雄,他.内視鏡下超音波像からみた粘膜下腫瘍様の食道表在癌の特徴.胃と腸 32:711-721, 1997
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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