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文献詳細

雑誌文献

胃と腸53巻4号

2018年04月発行

文献概要

今月の主題 腸管感染症─最新の話題を含めて 主題

腸管感染症の画像診断

著者: 大川清孝1 青木哲哉1 上田渉1 大庭宏子1 宮野正人1 小野洋嗣1 中内脩介1 川村悦史1 山口誓子1 倉井修1 佐野弘治2

所属機関: 1大阪市立十三市民病院消化器内科 2大阪市立総合医療センター消化器内科

ページ範囲:P.399 - P.407

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要旨●本稿では主な急性腸管感染症であるカンピロバクター腸炎,サルモネラ腸炎,腸管出血性大腸菌腸炎,エルシニア腸炎,偽膜性腸炎,アメーバ性大腸炎,腸アニサキス症の腹部CT像と内視鏡像について述べる.腹部CT像では,腸管壁肥厚の有無・局在・程度,腸管周囲の炎症の有無・程度,リンパ節腫大の有無・程度,腹水の有無・程度,などに注目して診断する.大腸型の細菌性腸炎のCT像では,高率に右側結腸の壁肥厚がみられる.一方,内視鏡像では,罹患部位と浮腫・粘膜内出血・うろこ模様・びらん・潰瘍・偽膜の有無やその性状により腸管感染症の鑑別診断を行う.エルシニア腸炎ではPeyer板の肥厚とその上のびらんが特徴的内視鏡像である.重症の偽膜性腸炎では膜状偽膜を呈するが,この所見は偽膜を伴う重症のアメーバ性大腸炎と類似しているため注意する必要がある.両疾患における類似した内視鏡像を提示した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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