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文献詳細

雑誌文献

胃と腸53巻4号

2018年04月発行

文献概要

今月の主題 腸管感染症─最新の話題を含めて 主題

─最近注目される腸管感染症─アメーバ性大腸炎

著者: 五十嵐正広1 岸原輝仁1 千野晶子1 田顔夫佑樹1 井出大資1 為我井芳郎1 斎藤彰一1 河内洋2

所属機関: 1がん研有明病院下部消化管内科 2がん研有明病院病理部

ページ範囲:P.431 - P.439

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要旨●アメーバ性大腸炎は比較的まれな消化管感染症であったが,最近では年間1,000例以上の発症が報告されている.2005年以降当院で生検および直接鏡検で虫体,栄養体が確認された35例(男性:33例,女性:2例),平均年齢47.5歳を解析しその特徴をまとめた.有症状者は63%,無症状者37%.推定される感染経路は,異性間感染49%,同性間感染9%,不明43%.生検陽性率は89%,直接鏡検陽性率は93%,血清アメーバ抗体陽性率は53%.好発部位は,盲腸89%,直腸51%であった.特徴的な内視鏡所見は,たこいぼ様びらん・潰瘍,不整形潰瘍,打ち抜き状潰瘍,類円形潰瘍,腫瘤形成様潰瘍などで,潰瘍の易出血性や膿汁流出様所見が特徴的である.診断は内視鏡所見で疑い,生検や直接鏡検,問診による背景の確認などが重要である.

参考文献

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3)岸原輝仁,五十嵐正広,千野晶子,他.潰瘍性大腸炎とその鑑別─誤診してはいけない感染性腸炎:アメーバ性大腸炎.消内視鏡 22:1214-1219, 2010
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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