文献詳細
文献概要
増刊号 早期胃癌2018 主題
早期胃癌検診の現状
著者: 榊信廣1 中島寛隆1
所属機関: 1公益財団法人早期胃癌検診協会
ページ範囲:P.545 - P.552
文献購入ページに移動要旨●胃がん検診として年間600万件以上の胃X線検診が実施されている.2014年に対策型胃がん検診として認可された内視鏡検診は増加しているが,実施可能件数に限界がある.さらに,H. pylori感染者が低下している現状では,内視鏡検診に胃癌リスク層別化検査の導入は不可欠である.一方,除菌治療後の検診受診者が急増している今日,内視鏡でも発見困難な形態の除菌後胃癌への対応も問題である.従来の胃がん検診は限界に来ており,複数の学会が協調して,胃癌発症リスクを加えX線と内視鏡が連携した新しい視点から胃がん検診体制の構築が必要である.
参考文献
1)国立がん研究センターがん予防・検診研究センター.有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン,2014年度版.2015. 3. 31
2)日本消化器がん検診学会全国集計委員会.平成26年消化器がん検診全国集計.日消がん検診誌 55:52-83, 2017
3)創立50年史編集委員会.公益財団法人早期胃癌検診協会創立50年史.大村印刷,2017
4)消化器がん検診全国集計.委員会報告:日本消化器がん検診学会ホームページ http://www.jsgcs.or.jp/
5)Nakashima H, Nagahama R, Yamamoto T, et al. Mass screening for gastric cancer:how to select patients for endoscopic examination. Gastric Cancer 13:78-83, 2010
6)中島寛隆,尾割道代,山崎琢士,他.胃X線検診の現状と展望─任意型検診の立場から.胃と腸 50:1021-1029, 2015
7)日本消化器がん検診学会胃がん検診精度管理委員会,胃X線検診の読影基準に関する研究会.胃X線検診のための読影判定区分.日消がん検診誌 54:73-76, 2016
8)濱島ちさと.対策型胃癌検診における胃内視鏡検査の導入と残された問題点.消内視鏡 29:1152-1157, 2017
9)厚生労働省がん検診のあり方に関する検討会.がん検診のあり方に関する検討会中間報告書─乳がん検診及び胃がん検診の検診項目等について,平成27年9月.2015
10)日本消化器がん検診学会対策型検診のための胃内視鏡検診マニュアル作成委員会.対策型検診のための胃内視鏡検診マニュアル.南江堂,2017
11)Charvat H, Sasazaki S, Inoue M, et al ; for JPHC study group. Prediction of the 10-year probability of gastric cancer occurrence in the Japanese population:the JPHC study cohort II. Int J Cancer 138:320-331, 2016
12)NPO法人日本胃がん予知・診断・治療研究機構(編).胃がんリスク検診(ABC検診)マニュアル─胃がん撲滅のための手引き.南山堂,2009
13)鳥居明.東京都における対策型胃がん検診体制と胃がん撲滅に向けての取り組み.総合検診 44:54-58, 2017
14)榊信廣.保険適用拡大に伴う問題点と留意点.医事新報 No. 4647:21-35, 2013
15)IARC Working Group. Helicobacter pylori Eradication as a Strategy for Preventing Gastric Cancer, IARC Working Group Reports No. 8. IARC, Lyon, 2014
16)厚生労働省.がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(健発第0331058号平成20年3月31日厚生労働省健康局長通知別添),平成28年2月4日一部改正.2016
掲載誌情報