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文献詳細

雑誌文献

胃と腸53巻6号

2018年05月発行

文献概要

今月の主題 小腸出血性疾患の診断と治療─最近の進歩 主題症例

特異な形態を呈した空腸動静脈奇形の1例

著者: 武田輝之1 平井郁仁1 松嶋祐2 別府孝浩3 矢野豊4 岸昌廣4 高田康道4 別府剛志4 久部高司4 八尾建史5 前川隆文6 東原秀行7 太田敦子8 岩下明德8 植木敏晴4 松井敏幸4

所属機関: 1福岡大学筑紫病院炎症性腸疾患センター 2芦屋中央病院消化器科 3糸島医師会病院消化器内科 4福岡大学筑紫病院消化器内科 5福岡大学筑紫病院内視鏡部 6福岡大学筑紫病院外科 7福岡大学筑紫病院放射線科 8福岡大学筑紫病院病理部

ページ範囲:P.883 - P.886

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要旨●患者は60歳代,男性.小腸出血疑いで当院に転院となった.経口的ダブルバルーン小腸内視鏡検査では,空腸に亜有茎性の隆起性病変を認め,隆起の表面は平滑で,白苔を有し,基部には強い発赤を認めた.白苔を有しており,形態学的にはpyogenic granulomaに類似していたが,拍動を認めること,基部に強発赤を認めることより,動静脈奇形(AVM)を含めた血管性病変を否定できなかった.腹部血管造影検査では,比較的早期の静脈還流を認めた.以上より,AVMと診断し,空腸部分切除術を施行した.切除標本の病理組織所見では,粘膜下層に動静脈の異常な吻合を認め,AVMの所見であった.今回筆者らは,特異な形態を呈した空腸AVMの1例を経験したので報告する.

参考文献

1)南出竜典,福島政司,和田将弥,他.内視鏡的治療しえた小腸動静脈奇形の1例.Gastroenterol Endosc 57:2448-2454, 2015
2)岩下明德,尾石樹泰,八尾隆史,他.腸管の血管性病変の病理学的鑑別診断.胃と腸 35:771-784, 2000
3)小林清典,五十嵐正広,勝又伴栄,他.腸管動静脈奇形─自験12例と本邦報告例の解析.胃と腸 35:753-761, 2000
4)水谷孝弘,本田邦臣,武井涼子,他.ダブルバルーン小腸内視鏡検査が診断に有用であった小腸動静脈奇形の1例.胃と腸 40:1547-1552, 2005
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6)渡辺幸康,豊島宏,坂東隆文,他.小腸大量出血─自験6例と本邦報告110例の検討.臨外 43:397-404, 1988

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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