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文献詳細

雑誌文献

胃と腸53巻7号

2018年06月発行

文献概要

今月の主題 知っておきたい直腸肛門部病変 症例アトラス 腫瘍性疾患

直腸平滑筋腫─カルチノイドと鑑別を要する小病変

著者: 小林広幸1 遠藤伸悟1 藤見寛子1 清森亮祐1 大石篤美1 原裕一1 恒吉正澄2

所属機関: 1福岡山王病院消化器内科 2福岡山王病院病理診断科

ページ範囲:P.1010 - P.1012

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疾患の概念
 消化管の平滑筋腫は筋原性の良性腫瘍であり,以前は消化管筋層から発生する腫瘍のほとんどは平滑筋腫と考えられていたが,病理診断に電子顕微鏡が導入されるようになり筋層由来の腫瘍の多くが平滑筋細胞としての特徴像を有しないことが明らかとなった.その後,消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor;GIST)という概念とc-kit染色診断の確立により,従来の平滑筋腫の多くはGISTであることが判明した1).今日では真の平滑筋腫は広義の消化管間葉系腫瘍の10〜15%を占めるとされている2).消化管では食道に好発し,大腸はまれであり,発生部位としては直腸〜S状結腸に多い3)

参考文献

1)Hirota S, Isozaki K, Moriyama Y, et al. Gain-of-function mutation of c-kit in human gastrointestinal stromal tumors. Science 23:577-580, 1998
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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