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文献詳細

雑誌文献

胃と腸53巻7号

2018年06月発行

文献概要

今月の主題 知っておきたい直腸肛門部病変 症例アトラス 腫瘍性疾患

GIST

著者: 板場壮一1 西嶋健一1 安部周壱1 田中俊行1 槇原康亮2 伊原栄吉3

所属機関: 1九州労災病院消化器内科 2九州労災病院病理診断科 3九州大学大学院病態制御内科学

ページ範囲:P.1016 - P.1017

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疾患の概念
 消化管に発生する,主に紡錘形細胞から成る間葉系腫瘍GIMT(gastrointestinal mesenchymal tumor)は,平滑筋性腫瘍,神経性腫瘍,およびGIST(gastrointestinal stromal tumor)にほぼ分類される.GISTは消化管のペースメーカー細胞であるCajal介在細胞(interstitial cells of Cajal;ICC)より発生すると考えられている1).GISTの確定診断には,免疫染色を含めた病理組織学的評価が必要である.免疫染色では,c-kitのGISTでの陽性率は80〜95%,CD34は食道,大腸GISTでの陽性率が95%と報告されている.最近DOG1(discovered on GIST)が免疫染色においてGIST診断に有用であり,感度,特異度がc-kitを上回っているとの報告もある2)
 消化管GISTの発生部位は,胃60〜70%,小腸25〜35%,結腸ならびに直腸(ほとんどは直腸)は5%程度と海外から報告されており3),直腸GISTは消化管GISTの中でもまれである.最近の本邦からの報告でも,直腸GISTの全消化管GISTに対する割合は3.6%であり,海外と同様の発生頻度であった4)

参考文献

1)Hirota S, Isozaki K, Moriyama Y, et al. Gain-of-function mutations of c-kit in human gastrointestinal stromal tumors. Science 279:577-580, 1998
2)菅井有,上杉憲幸,山田範幸,他.Gastrointestinal Stromal Tumor(GIST)の臨床病理と最近の進歩.癌と化療 38:715-721, 2011
3)Miettinen M, Majidi M, Lasota J. Pathology and diagnostic criteria of gastrointestinal stromal tumors(GISTs):a review. Eur J Cancer 38(Suppl 5):S39-51, 2002
4)Yasui M, Tsujinaka T, Mori M, et al. Characteristics and prognosis of rectal gastrointestinal stromal tumors:an analysis of registry data. Surg Today 47:1188-1194, 2017
5)蓑田洋介,板場壮一,加来豊馬,他.直腸および十二指腸の同時性重複GISTの1例.日消誌 112:1991-1997, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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