icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸53巻7号

2018年06月発行

文献概要

今月の主題 知っておきたい直腸肛門部病変 症例アトラス 非腫瘍性疾患

直腸に限局したcap polyp(polyposis)

著者: 佐々木悠1 阿部靖彦2 矢尾板孝夫2 八木周1 作田和裕1 水本尚子1 東海林正邦1 小野里祐介1 西瀬祥一1 上野義之1

所属機関: 1山形大学医学部内科学第二(消化器内科学)講座 2山形大学医学部附属病院光学医療診療部

ページ範囲:P.1022 - P.1023

文献購入ページに移動
疾患の概念
 1985年にWilliamsら1)によって初めて報告されたまれな大腸の慢性炎症性疾患である.主に直腸〜S状結腸に,頂部に白苔を有する多発隆起性病変がみられ,下痢や血便,腹痛を生じ,時に蛋白漏出による低蛋白血症から浮腫や腹水を呈する場合がある.
 幅広い年齢層で発症し,約1:3で女性に多い2).いきみ習慣の改善,メトロニダゾール,ステロイド薬,インフリキシマブ,H. pylori(Helicobacter pylori)除菌療法,手術が奏効したとする報告があるが,確立された治療法はない3)

参考文献

1)Williams GT, Bussey HJR, Morson BC. Inflammatory ‘cap' polyps of the large intestine. Br J Surg 72(suppl):S133, 1985
2)赤松泰次.Cap polyposisとHelicobacter pylori感染症.日ヘリコバクター会誌 18:80-83, 2017
3)渡辺知佳子,穂苅量太,三浦総一郎.その他のポリポーシス疾患─クロンカイト・カナダ症候群を中心に.日消誌 114:431-437, 2017
4)Sasaki Y, Takeda H, Fujishima S, et al. Nine-year follow-up from onset to spontaneous complete remission of cap polyposis. Intern Med 52:351-354, 2013
5)土田研司,妹尾恭司,木村吉秀,他.Helicobacter pylori除菌が有効であった横行結腸に限局したCap polyposisの1例.Gastroenterol Endosc 59:24-32, 2017
6)Sasaki Y, Abe Y, Ueno Y. A rare cause of protein-losing gastropathy. Gastroenterology 150:1094-1095, 2016
7)船越信介,岩男泰,今枝博之,他.直腸肛門部の炎症性疾患─粘膜脱症候群,cap polyposis.胃と腸 45:1331-1338, 2010
8)赤松泰次,中村直,上条寿一,他.臨床から見たcap polyposis─報告例20例と自験例5例の検討.胃と腸 37:641-650, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?