文献詳細
文献概要
今月の主題 知っておきたい直腸肛門部病変 症例アトラス 非腫瘍性疾患
梅毒性直腸炎
著者: 池内和彦1 福島一彰1 藤原崇2 今村顕史1
所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院感染症科 2がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科
ページ範囲:P.1024 - P.1026
文献購入ページに移動梅毒は,近年本邦における報告者数が急激に増加している性感染症で,Treponema pallidumが,性行為によって生殖器,口腔粘膜,肛門部などから感染することで発症する.臨床所見としては,陰部の初期硬結や硬性下疳,全身の皮疹などの症状を契機に診断されることが多いが,肛門性交により直腸炎を呈する男性同性愛者の症例もまれながら報告されている1).
梅毒の臨床経過としては,第1期梅毒(感染部位の初期硬結,硬性下疳を認めるもの),第2期梅毒(全身の皮膚,粘膜の発疹や臓器梅毒の症状がみられるもの),潜伏梅毒,晩期梅毒の順に進行することが知られている2)3)(Fig.1).梅毒が直腸炎を来す機序としては,肛門性交による第1期梅毒として潰瘍を呈する場合と,第2期梅毒の粘膜病変の一部として出現する場合があるが1)4)5),第1期梅毒と第2期梅毒の症状が同時にみられることもあり,区別が難しい症例も多い.
参考文献
掲載誌情報