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文献詳細

雑誌文献

胃と腸53巻7号

2018年06月発行

文献概要

今月の主題 知っておきたい直腸肛門部病変 症例アトラス 非腫瘍性疾患

宿便性潰瘍

著者: 長坂光夫1 大宮直木1

所属機関: 1藤田保健衛生大学消化管内科

ページ範囲:P.1032 - P.1033

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疾患の概念,形態的特徴
 宿便性潰瘍は大腸内に停滞した糞便塊の圧迫による血流障害により生じる褥瘡潰瘍で,1894年にBerry1)によって報告された.直腸〜S状結腸に好発し,潰瘍の形態は単発あるいは多発の不整形地図状潰瘍で,周辺粘膜との境界は比較的明瞭で潰瘍周囲の隆起や炎症を認めないのが特徴である(Fig.1a)2).近傍に糞便塊が存在することが多い.発症の背景には心不全などの循環不全,慢性腎不全,脳卒中,大腿骨頸部骨折など,高齢の長期臥床者に好発する.便秘の症状が先行し,無痛性の大量出血を来す.

参考文献

1)Berry J. Dilatation and rupture of the sigmoid flexure. Br Med J 1:301, 1894
2)長坂光夫,平田一郎.直腸粘膜脱,宿便潰瘍.medicina 49:264-266, 2012
3)河野裕利,勝見正治,浦伸三,他.脳疾患患者にみられた急性出血性直腸潰瘍の2症例.日本大腸肛門病会誌 33:222-227, 1980
4)清水誠治.急性出血性直腸潰瘍と宿便潰瘍.日本大腸肛門病会誌 54:955-959, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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