icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸53巻7号

2018年06月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

20年前に肺病変で発症し胃がん検診にて胃病変を発見されたサルコイドーシスの1例

著者: 山里哲郎1 入口陽介1 小田丈二1 水谷勝1 高柳聡1 冨野泰弘1 大村秀俊1 岸大輔1 山村彰彦2 細井董三1

所属機関: 1東京都がん検診センター消化器内科 2東京都がん検診センター検査科

ページ範囲:P.1040 - P.1048

文献購入ページに移動
要旨●患者は70歳代,女性.20年前から肺サルコイドーシスと診断され,呼吸器内科で経過観察中,胃X線検診にて異常を認め来院した.胃X線検査にて胃体中部後壁に10mm大の透亮像と胃穹窿部大彎にひだ集中を伴う陥凹性病変を認めた.内視鏡検査にて胃体中部後壁に粘膜下腫瘍様隆起,胃穹窿部大彎にひだ集中を伴う白色陥凹を認めた.NBI拡大像では陥凹内に血管のごく軽度な走行異常を認めるも境界不明瞭であった.EUSでは第2〜3層に均一な低エコー域を認めた.生検にて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めた.PAB抗体陽性でありアクネ菌との関連が示唆された.大腸内視鏡検査,胸部CTにて異常を認めず,サルコイドーシスの胃病変と考えられた.

参考文献

1)Morimoto T, Azuma A, Abe S, et al. Epidemiology of sardoidosis in Japan. Eur Respir J 31:372-379, 2008
2)Genta RM, Graham DY, Dixon MF, et al(eds). Granulomatous Gastritis. Lipincott Williams & Wilkins, Philadelphia, 1999
3)丸山保彦,景岡正信,大畠昭彦,他.肉芽腫を認める上部消化管疾患.胃と腸 51:1418-1429, 2016
4)江石義信.呼吸器疾患の分子疫学−サルコイドーシスとアクネ菌.日内会誌 92:1182-1189, 2003
5)小林浩子,齋藤桂悦,引地拓人,他.サルコイドーシスの消化管病変の特徴.胃と腸 51:1453-1457, 2016
6)東俊太朗,西山仁,峯彩子,他.非腫瘍性疾患:サルコイドーシス.胃と腸 50:792-794, 2015
7)小沼一郎,山田聡,大原麗,他.胃サルコイドーシスの1例.胃と腸 37:227-232, 2002
8)中原束.スキルス胃癌と鑑別を要する非腫瘍性疾患─サルコイドーシス.胃と腸 45:515-520, 2010
9)稲葉良彦,高橋寛,千野昌子,他.消化管サルコイドーシス.胃と腸 38:634-638, 2003
10)江石義信.サルコイドーシスの疾病発生機構.心臓 43:1168-1172, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?