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今月の主題 消化管画像の成り立ちを知る 主題
消化管隆起性病変のマクロ画像の成り立ち
著者: 八尾隆史1
所属機関: 1順天堂大学大学院医学研究科人体病理病態学
ページ範囲:P.1191 - P.1199
文献購入ページに移動要旨●肉眼的(あるいは内視鏡的)に病変の質的診断あるいは病変の範囲を同定する場合には,その病変がどのような組織構築により成り立っているかを知っておくことが必須である.隆起性病変のマクロ画像の成り立ちを考えるうえでは,まずは各病変が消化管の壁(①粘膜,②粘膜下層,③固有筋層,④漿膜の4層構造)のどの部位にどのような成分が増生しているかを推察することが基本である.種々の病変は組織構築から,いくつかの発育パターンに分類可能であり,肉眼像から組織構築を推察するためには,各病変に当てはまる発育パターンとそのバリエーションを把握する必要がある.ただし,同じ組織型で同様な発育パターンであっても症例ごとに異なる肉眼像を呈するため,肉眼的診断の精度を高めるためには,症例ごとの形態と組織の一対一対応を継続して行うことによる知識の集積が必要である.
参考文献
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