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文献詳細

雑誌文献

胃と腸53巻9号

2018年08月発行

文献概要

今月の主題 消化管画像の成り立ちを知る 主題

上部消化管X線造影画像の成り立ち

著者: 長浜隆司1 坂本直彌2 宇賀治良平1 外山雄三1 山本栄篤1 西澤秀光1 松村祐志1 浅原新吾1

所属機関: 1千葉徳洲会病院消化器内科 2会津中央病院放射線室

ページ範囲:P.1211 - P.1225

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要旨●X線造影像の成り立ちを胃X線二重造影像を中心に概説した.X線造影像は粘膜の凹凸を①はじき像,②たまり像,③接線像の3種の基本成分で表していくが,この基本成分は食道,胃,大腸のX線造影像に共通する像であり,その組み合わせによりさまざまな所見が得られ診断が行われる.画像による黒化度はバリウムの付着層の厚みによりコントラストの差として示現される.隆起型でははじき像,接線像,陥凹型ではたまり像,接線像を基本成分として,臨床的によく使用される透亮像,バリウム斑,結節状・顆粒状陰影,辺縁不整,二重線などの所見が示現される.辺縁像はバリウムの付着する内腔側の線であり,側面変形は粘膜下層以深の癌細胞量とそれに伴う線維化,反応性のリンパ球増生などによる器質的変化による病変部と周囲の非癌部の消化管短軸方向への伸展性の差で現れると考えられており,その変形の程度は深達度と密接な相関が認められる.さまざまなX線造影所見の成り立ちを基本成分から理解することで,X線診断学が理解しやすく,正確な診断が可能となる.

参考文献

1)Fischer AW. Über eine neue röntgenologische untersuchungsmethode des Dickdarms. Kombination von Kontrasteinlauf und Luftaufblähung. Klinische Wochenschrift 34:1595-1598, 1923
2)市川平三郎,吉田裕司.胃X線診断の考え方と進め方.医学書院,1986
3)熊倉賢二.図譜による胃X線診断学─基本所見の成り立ちと読影.金原出版,1968
4)高木靖寛.側面変形.胃と腸 47:717, 2012
5)入口陽介,小田丈二.側面変形.胃と腸 52:672, 2017
6)牛尾恭輔,後藤裕夫,村松幸男,他.消化管癌のX線診断における側面像の意義─二重造影による深達度診断.胃と腸 21:27-41, 1986
7)細井董三,平塚伸,熊谷洋一,他.早期食道癌の診断─X線診断の進歩の現状.臨消内科 12:1695-1704, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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