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文献詳細

雑誌文献

胃と腸53巻9号

2018年08月発行

文献概要

今月の主題 消化管画像の成り立ちを知る 主題

通常内視鏡画像の成り立ち─早期胃癌における伸展不良所見の成り立ち

著者: 長浜孝1 小島俊樹2 中馬健太2 八尾建史2 田邉寛3 原岡誠司3

所属機関: 1長浜クリニック 2福岡大学筑紫病院内視鏡部 3福岡大学筑紫病院病理部

ページ範囲:P.1252 - P.1259

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要旨●通常内視鏡像で早期胃癌に認められる伸展不良所見の成り立ちについて概説した.T1a〜T1b1は胃壁強伸展下では非腫瘍粘膜と同様に伸展性が保たれた(伸展良好)癌である.早期胃癌で伸展不良所見を認める代表的な病態は,粘膜下層(SM)深部に大量に浸潤した癌(T1b2)と潰瘍(瘢痕)を合併した癌〔T1a,UL1,T1b,UL1〕,の2つである.T1b2は,癌細胞塊,炎症細胞浸潤,癌性線維症が原因となり,領域性のある塊状の肥厚と硬化を来す.内視鏡で送気し胃壁を強く伸展させると,SM浸潤部の伸展不良が原因となり,非浸潤部との伸展性の差により台状挙上所見が出現する.一方,T1a〜T1b1においても潰瘍(瘢痕)を合併すると,粘膜下層の線維化が主な原因となり肥厚と硬化を来し,ひだ集中像を代表する伸展不良所見が出現する.しかし,線維化の形状は明瞭な領域性に乏しいため,胃壁強伸展下では集中ひだは瘢痕中心部一点に集中し,走行は直線的で挙上を伴わない,すなわち台状挙上所見は陰性である.

参考文献

1)入口陽介,冨野泰弘,山村彰彦.伸展不良所見.胃と腸 52:571, 2017
2)日本消化器内視鏡学会用語委員会(編).消化器内視鏡用語集,第3版.医学書院,2011
3)八尾恒良,大串秀明.病理組織構築よりみた深達度診断の問題点.胃と腸 12:1157-1173, 1977
4)八尾恒良,田邉寛,長浜孝,他.胃の陥凹型SM癌の病理組織構築と対比した内視鏡所見─pSM2癌診断のための観察方法と診断限界.胃と腸 43:1109-1125, 2008
5)Nagahama T, Yao K, Imamura K, et al. Diagnostic performance of conventional endoscopy in the identification of submucosal invasion by early gastric cancer:the “non-extension sign” as a simple diagnostic marker. Gastric Cancer 20:304-313, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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